エピローグ

 奈須は、師長となって、現場で働く看護ケアの専門職と管理職の思考の違いを実感しつつある。マネジメントに関する知識を得たことにより、これまで先輩師長たちが、いかに病棟の管理に苦労してきたかが分かってきた。師長になる以前は、現場の意見ばかり強く主張して、師長や主任と対立したことがあった自分を、今では恥ずかしく思う。無知ということは、恥ずかしいことである。だが、これからマネジメントの勉強をすることが自分のため、病棟のため、働く看護師のためにも役立つことが分かった。これから中堅になりつつある看護部のみんなにも、マネジメントのことを理解してもらえるように、努力することを誓ったのだった。

 病院の盛衰の鍵は、「人」であることは間違いない、これは、院長と看護部長が一番よく分かっているだろう。病院では、師長に抜擢した奈須の管理職としての成功を感じ取り、これからも管理職の育成に力を入れていくことが方針として伝えられた。

 病院経営が厳しくなるこの時代、医療を提供する人たちの教育と、彼らをまとめる管理者の手腕が問われることは間違い無いだろう。これからの病院を支えるのは、病院のマネジャーである師長や主任といった中間管理職なのである!