時間の有効活用は、管理職にもスタッフにも重要なことである。医療機関では、どうしても超過勤務になりやすいメンタリティーがある。とかく時間に追われがちな管理職が、時間に余裕を持つためにするにはどうしたらいいのであろうか?
仕事に追われ、時間に余裕がなくなりつつある石崎は、外科部長の山本先生に、時間管理について教えてもうことになった。山本先生は、いつも仕事を合理的に考えているため、時間管理や業務の合理化に対しては天才的である。そんなノウハウを居酒屋にて伝授してもらうことになった。
石崎:山本先生、今日はすみません。
山本:遅いからすっかりできあがっちゃったよ。タイムマネジメントなんて難しい課題を教えられるかな。
石崎:山本先生は、オペの段取りの良さと時間管理が天才的だと言われているので、どうすれば私も時間管理が上手にできるか指導してください。
山本:いつもレセプトの返戻や査定で石崎くんに指導されているから、今日は指導しちゃおうか(笑)。
石崎:先生、ちょっと酔っぱらいすぎじゃないですか?大丈夫ですか?
山本:大丈夫だよ。さっさと終わらせて、楽しく飲み会をやろうよ。石崎くん、生中でいいだろ?
石崎:ありがとうございます。
山本:さて、時間管理ね。はっきり言って時間管理は、優先順位と段取りの2つがポイントだよ。
石崎:優先順位とは、業務に優先順位をつけるということですね。段取りとは仕事の順番とタスク管理のことですね。
山本:そうだよ。ところで、石崎くんは、仕事を部下に任せている?
石崎:下が育たないので、仕事を任せることができないんです。
山本:本当?育てていないんじゃないの?
石崎:そうなんですかね。育てていないんですかね・・・。
山本:育てるには、やらせないといけないんだよ。外科もそうだけど、オペをやらせないと育たないからね。事務でもやらせてる?
石崎:やらせてません。仕事を失敗されると怖いので、触らせていません。だから仕事が増えるんですかね。
山本:そうだね。我々も初めてのオペをやらせるときは怖いよ。でも、すぐにサポートできる体制にしているから可能なんだよ。任せたら放置というのは、ありえない。任せてから少しの間、監視しているから、まかされた方も安心して仕事ができるし、こちらも任せることができる。
石崎:なるほど、確認と介入のタイミングが重要なんですね。
山本:そうだよ。最初は、怖いから介入のタイミングが早くなると思うけど、とにかく、目を離しちゃだめだよ。次に、優先順位だ。仕事に優先順位はついているのかな?
石崎:大体、優先順位はついていますが、来た仕事を順番にこなしている感じです。
山本:まずは、自分の業務に優先順位をつけてみよう。最重要から優先度の低い業務まで分類するんだ。優先度は、どうやってつけているかな?
石崎:優先度は、病院経営に関わるものが最優先となっています。次に、統計的なものといった感じで優先順位をつけています。
山本:病院の管理職だから病院経営が一番重要だね。例えば、レセプトとか、理事長からの依頼の仕事かな?
石崎:そんなところです。
山本:仕事の段取りは、どうかな?どのようにしている?
石崎:定型の業務と突発的な業務を分けています。レセプトや経営会議用の定型業務を中心に、突発的な業務を空いた時間に入れて行くようにしています。
山本:定型業務については、どんどん任せていった方がいいよ。管理職は、突発的な業務をどんどん増やして、定型化していくことが求められる。非定型業務を定型化し減らすことも、時間管理では重要なことなんだ。
石崎:突発的な業務を減らすということは、どういったことですか?
山本:突発的な業務は、高度な知識と判断が必要となる。だから、スタッフが判断することが難しくなる。こう考えたらどうかな?難しいオペって、何だと思う?難しいオペって、技術的なことだけでなく、何が起きるかわからないものであったりするんだよ。経験と知識が必要だからこそ、ベテランがやるべきなんだ。逆に、典型的な定型化されたオペは、ベテランがやるより、若手がやった方がいいよね。それと、高度な判断が必要なオペを、いかに定型化して若手でもできるようにしていくかがベテランの仕事だね。これって、石崎くんの業務や看護部の管理職の人たちの一緒なんだよね。
石崎:確かにそうかもしれませんね。突発的な業務をいかに定型化するかですね。チャレンジしてみます。
山本:仕事は、このくらいにしてあとは飲もうよ。
時間がないと悩んでいる管理職は多いと思われます。仕事の優先順位をつけること、仕事を抱えず仕事を振ること、仕事の段取りを行いスケジュールどおりに仕事を進めることができれば、必然と時間に余裕が出てきます。つまり、スケジュール管理のポイントは、業務の落とし所が分かることであり、仕事の先が見えるようにすることなのです。これは、仕事のスケジュール管理をしていこうとする心構えと業務スケジュールを作る経験を積めばできるようになるはずです。