19 看護スタッフの離職防止

 看護師の離職は、今や大きな問題である。新卒や中途の採用を増やしたとしても、離職されてしまっては、職員が一向に増えない。そこで、様々な取り組みが行われている。どのようにすれば、離職を防止することができるのだろうか?斎藤部長と根田師長が看護師の離職対策について話し合っている。そこに偶然、奈須さんが入ってきた。

奈須:失礼します。すみません。お話し中でしたか。出直します。

斎藤:奈須師長、大丈夫ですよ。いつもタイミングがいいわね。少し、意見がほしいので、話に加わってもらってもいいかな。

奈須:喜んで。

斎藤:根田師長と話していたのは、看護師の離職を減らす方策を考えていたのよ。あなた達の後輩が辞める前にはいつも、どんな相談がもちかけられるの?私には、寿退職や別のところで勉強したいという理由で来るけど、本当の理由でないことは分かっているの。

根田:やっぱり、人間関係ですね。古くからいる人ともめたとか、管理者がしっかりしていないことによる業務の偏りといった相談が多いです。

奈須:私のところに相談に来る人も大体おなじ理由です。突然休みする人も決まっていて、いつも、自分が大変な思いをしているといった不満で辞める人もいます。こういった不公平感につながるような問題が解決されれば、もっと定着するはずです。

斎藤:やっぱり、管理者の問題が大きいのよね。しっかりした管理者がいる病棟では、離職者が少ないのよね。教育、待遇、管理者ね。管理者教育の重要性が分かるわね。

 職員の離職は、人間関係が一番多いと言われている。これは、職場が忙しく余裕がないため人間関係のトラブルが起きやすい状況にもあるからである。現在、職員の待遇改善として、給与や有給休暇の取得率向上などさまざまな対策が取られているが、効果が上がっていない現状がある。実は、給与については、職員の離職防止にあまり効果がないともいわれている。そんなことより、入職時の体制が重要である。よくありがちだが、契約した条件と違うところがあるといったことが病院によってある。こんなことをすると、職員は、入職時から不信感を持つ。これは、事務部に問題であるので、注意が必要である。また、教育についても入職してから、忙しいからと言って疎かになっていたとすれば、これも不信感を持つ。まずは、入職した職員に信頼と安心を与えることが重要である。皆さんの病院は、大丈夫だろうか?看護部長が新卒採用に力を入れても採用の手順やシステムが足を引っ張っている場合もある。そんなことにならないように、チェックしてみてほしい。言われた条件と違うと言った愚痴を聞いた時は、危険信号である。定着は、その後の教育次第である。自己実現ができるように看護教育をしていくことで自然と定着する。定着する病院は、教育がしっかりしているのである。


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