医療現場の管理者になって困ることは、よい管理者になるために参考となる学習材料がほとんどないことです。分かりやすく実践的な書籍がない、セミナーもしっくりこない、そんなことが珍しくありません。特に新任管理者にとっては、現場に即した場面で管理を学べるツールが必要となります。
偶然に、よい看護管理者やリーダーの下で働いていた人は、管理者として優秀になり、そうでない人はよい管理者になれない。このような状況が、医療界では長く続いてきました。医師も看護師も事務も、これから現場で力を発揮できる管理者になるための教育を受ける必要があります。筆者も管理者になった時に、「管理者とはどうあるべきか」を考え、成長していく過程でたくさんの失敗を重ねました。今では、あの時、ああすればよかったなんて考えることもあります。
もし、皆さんが今から良い管理者になろうと思ったら、「病院の管理者とはどうあるべきか」「病棟の管理者とはどうあるべきか」と自問自答してください。よい管理者とは、病院経営や病棟運営に関する数字の扱いが上手い人なのでしょうか?それとも病棟の皆と仲良く楽しく仕事ができる人なのでしょうか?何が良くて何が悪いのか、その基準は病院によっても部門によっても、時代によっても違います。
これから皆さんが管理者として、どのように成長し成功していくか、その鍵となるのは、自分の仕事に対する完成と知識であることは間違いありません。そんな感性を磨き知識を増やすために、本書を利用していただければ幸いです。この本は、看護部門だけでなく病院で、「管理者を目指す方」「新たに管理者に就任した方」「管理者の基本を復習したい方」「管理者として迷っている方」を対象としています。本書の前作となる拙著「超イロハ師長の病棟経営数字」を併せて読むと、病棟経営や病院経営のことが理解できると思います。
木村憲洋